- SlackbotはSlack内のイベント(メッセージやコマンドなど)を監視し、API経由で独自のロジックに基づいて応答します。
- Slackbotの主な用途は、ワークフローの起動、ドキュメントからの質問応答、リクエストの振り分け、チームの定例作業の自動化などです。
- Slackbotを作るには、目的の明確化、Slackとの接続、イベントデータの処理、セキュリティやUXのベストプラクティスの遵守が必要です。
チームでSlackを使っていると、同じメッセージが何度も繰り返されるのを目にしたことがあるはずです。
「これ誰の担当?」「誰か承認できますか?」「リンクはどこ?」
そのうち、協力というより混乱になってきます。リマインダーやスラッシュコマンド、Notionのドキュメントを使って何とかしようとしますが、Notionの進捗を追うためにLinearのページも必要になったりします。
そして、AIチャットボットを作成して解決しようとしたことがあるなら、こう感じたはずです:Slackはすべてが集まる場所なのに、物事を前に進める強力な仕組みがない。
そこで役立つのが、しっかりと目的を絞ったSlackbotです。
Slackbotとは?
Slackbotは、Slack内に登録されたアプリケーションで、メッセージやメンション、スラッシュコマンド、インタラクションなど特定のイベントタイプを監視し、Slack外で定義されたロジックに基づいて応答します。
通常はSlackアプリの一部として登録され、ボットトークンで認証され、AIチャットボットのような外部サービスと連携してイベントを処理し、構造化された応答を返します。
SlackbotはSlack Events APIモデルで動作し、Webhook URLやスコープ、権限トークンを使って入力を処理し、ワークスペース内で返信を送信します。
Slackbotの主な活用例
Botpressでは、簡単な非同期承認からチームでのフローのデバッグまで、あらゆることをSlackで行っており、その多くがボット経由で動いています。
Slackには75万以上のボットが存在し、プラットフォーム上のアクティブなワークスペースの45%で利用されています。
これらは単なる便利機能ではありません。ツールを切り替えたりスレッドを追いかけたりせずに、ユーザーがスムーズに作業できるようサポートします。
ここでは、私たちが実際に作った、または他の人が作っているのを見たSlackbotの活用例をいくつか紹介します。
コマンドからワークフローを起動
一部の作業はダッシュボードを使う必要がありません。Slackでコマンドを打つ方が早い場合が多いです。
Slackbotはスラッシュコマンドやメッセージパターン、絵文字リアクションを監視し、それらを使ってバックグラウンドでワークフローを起動できます。
テスト環境の立ち上げ、チケットの作成、ポストモーテムの開始、スレッドから直接ボットの公開などが可能です。
ボットが引き継ぎを行い、ワークフローを進め、完了したらスレッドに報告します。
ドキュメントの検索
Slackでは同じ質問が繰り返されがちです。ドキュメントに載っている内容でも、すぐに見つからないことがあります。検索拡張生成(RAG)を活用したSlackbotなら、スレッド内で直接回答できます。
ナレッジベースを検索し、最も関連性の高い内容やリンクで返信します。
誰かがSlackで質問すると、ボットが関連する答え(またはそのリンク)を返します。
うまく運用すれば、「リンクどこ?」のやりとりが大幅に減ります。
社内リクエストのチーム振り分け
Slackにリクエスト(デモ希望のリード、担当割り当てが必要なタスク、カレンダー予約など)が投稿されても、誰かが対応しない限り放置されがちです。
Slackbotが自動でそのリクエストを振り分けることができます。
Botpressで使っているボットの一つがGordonです。デモ関連のトリガーを検知し、見込み客の情報を取得、担当者の空き状況を確認し、スレッドにCalendlyリンクを投稿します。
リード獲得チャットボットと予約チャットボットの両方の役割を持ち、Slack内で完結するように設計されています。
チームの定例作業の自動化
Slackbotは、つい忘れがちな定例作業(デイリーチェックイン、週末の成果報告、振り返りのプロンプトなど)にも最適です。
手動で声かけする代わりに、ボットが各メンバーに連絡し、回答を集めて一つのスレッドにまとめて投稿します。
Slackbotの仕組み
SlackbotはSlackからのイベントを受け取り、API経由で応答します。Slackbotは外部サーバー上で動作し、Slackからのイベントを監視し、APIで応答します。
ユーザーのメッセージや操作などのシグナルを監視します。
Slackbotの本質はイベント駆動型です。Slackがイベント情報を送り、ボットがそれを処理して応答を返します。
Slackは何かが起きたときにボットに通知を送る
Slackは、誰かがメッセージを送ったり、ボタンをクリックしたり、コマンドを入力したりしたときに、ボットに重要な出来事を知らせます。
ボットはクラウド上の外部で動作しているため、常に更新を確認し続ける必要はありません。Slackが直接情報をプッシュします。これがイベントです。
どの種類のイベントをボットが監視するかは、あなたが選択できます(メッセージ、インタラクションなど)。
これらのイベントが発生すると、Slackは「何が起きたか」「誰がトリガーしたか」「どこで起きたか」など、応答に必要な情報をボットに送ります。
ボットユーザーはWebhookやAPIで応答を投稿
ボットがイベントを受け取ったら、どう応答するかを決めます。多くの場合、SlackのAPIを呼び出してメッセージを投稿したり、内容を更新したり、モーダルを開いたりします。
ボタンのクリックやフォーム送信など、即時応答が必要な場合は、Slackがボット用の特別な返信リンクも含めてくれます。
短いメッセージを返すだけのボットもあれば、イベントをきっかけにデータベースを更新したり、他のサービスと連携したり、ワークフローを実行するものもあります。
ボットが裏で何をしていても、最終的な応答は必ずSlackを通じて行われます。
Slackbotのトークンが権限とアクセス範囲を決める
Slack内のすべてのボットはトークン(ボットができることを示す鍵)を使って動作します。
トークンによって、アクセスできるチャンネルや実行できるアクション、監視できるイベントの種類が決まります。
ボットが何かをしようとすると、Slackはそのトークンを確認し、許可されているかどうかをチェックします。
必要な権限があれば実行され、なければブロックされます。
これがSlackがアクセスを管理し、ボットが許可されたことだけを実行する仕組みです。
Slackbotの作り方
Slackbotの作り方はさまざまです。シンプルなWebhookから複雑なエージェントフレームワークまで幅広く存在します。
ツールを比較したい場合は、おすすめのSlackチャットボットガイドで、サポート・社内運用・自動化などの実例を交えて詳しく解説しています。
ここでは、Botpressを使って実際に動くSlackbotを作る方法を、チャンネルでのテストやイベント処理、Slackの構造化データの扱い方のコツとともに紹介します。
ステップ1:チャットボットの目的を整理する
何かを接続する前に、Slackbotで何をしたいかを明確にしましょう。自分に問いかけてみてください:
- 誰がこのボットと話すのか?社内運用チーム?営業担当?共有チャンネルの外部ユーザー?
- その人たちは何を期待しているのか?すぐに答えがほしい?ワークフローを起動したい?会話をしたい?
- どんな言い方をするのか?長文の質問?それとも/コマンドや絵文字リアクションだけ?
- ボットが分からないことがあったらどうする?「分かりません」と答える?エスカレーションする?ごまかす?
ざっくりでもイメージがあれば、イベントへの応答方法や必要なコンテキスト、ボットの会話感(または機械的な感じ)を決めるのに役立ちます。
プロのヒント: Slackはウェブチャットとは違います。ユーザーは断片的にメッセージを送ったり、スレッドで返信したり、ボットを@メンションしたり、絵文字で反応したりします。そして、ボットが文脈を理解していることを期待します。あなたのフローもそれに合わせて設計しましょう。
ステップ2:チャットボットのバックエンドを作成する
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さっそく作り始めましょう。まずはBotpressにアクセスして新しいボットを作成します。
よくある質問に答えるだけのシンプルなFAQチャットボットを作りたい場合は、指示とナレッジベースにいくつか項目を追加するだけで、Slackに接続すればすぐに応答できるようになります。
もっと高度なもの(ワークフローの自動化や外部API呼び出しなど)を作る場合は、ステップ4の後にこの工程に戻ってきてください。
ここから、フローや条件、イベントデータを使ってSlack固有のロジックを組み込むことができます。
同じボットをWhatsAppチャットボットやTelegramチャットボットとしても、追加作業なしで展開できます。この部分はSlackに依存しません:どのチャネルでもボットがどう振る舞うかを定義しています。
ステップ3:Slackをチャットボットのバックエンドに接続する
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ボットのダッシュボード内で「インテグレーション」→「Slack」と進み、「接続」をクリックします。
これにより、安全なOAuthフローが開始され、Slackアプリがボットにリンクされます。
完了すると、ボットはSlackに完全に接続され、メッセージの受信やチャンネル・スレッドへの返信が直接できるようになります。
このタイミングでボットのアバターや名前を変更することもできます。
APIコールを手動で扱う必要はありません。Botpressが生のイベントデータを直接ボットに渡すので、すぐにユーザー入力へ反応できます。
オプション:手動設定(カスタム制御が必要な場合)
独自のSlackアプリを使いたい場合(権限の微調整、既存ロジックの利用、特定イベントの購読など)、手動で連携設定が可能です。
手動モードでできること:
- Botpressではなく自分のSlackアプリを利用
- カスタムスコープの追加(例:groups:read、reaction_addedなど)
- セキュリティのためトークンのローテーションを有効化
- ボットのカスタム名やアバターを設定
設定は少し手間ですが、より高度なSlackbotを作る場合や、アプリのアクセス範囲を完全に管理したい場合に最適です。
この方法を選ぶ場合は、公式ドキュメントの詳細ガイドをご覧ください。全手順を解説しており、Slack APIの変更にも随時対応しています。
ステップ4:Slackのデータをチャットボットで活用する
多くの人が最初につまずくのは、Slackのイベントデータの理解です。
Slack自体が難しいわけではなく、構造化データが大量に届くため、どう扱えばいいか戸惑うことが多いのです。
Slackで誰かがボットとやり取りするたびに、イベントオブジェクトが届きます。このイベントは自動的にevent変数を通じてフローに渡されます。
ステップ5:Slackの実際のチャンネルでSlackbotをテストする

すべて接続できたら、ボットをチャンネルに招待するか、直接DMしてみましょう。単に返答するかだけでなく、Botpressのログを通じてSlackからのデータをどう活用しているかも観察します。
さらに一歩進んで、各会話を詳しく見て、設計通りに動作しているか確認しましょう。
Slackbot構築時のベストプラクティス
Slackbotが稼働し始めてからが本番です—運用し、ワークスペース内で適切に振る舞うように保つ必要があります。
ボットを信頼性・安全性・使いやすさの高いものにするための実践的なベストプラクティスを紹介します:
最小権限アクセスのためにスコープ付きトークンを使う
手動設定の場合、必要以上の権限をボットに与えないようにしましょう。ボットの機能に応じて、chat:writeやreactions:readなど最小限のSlackスコープに限定してください。
これは最小権限の原則に従い、万が一認証情報が漏洩した場合のリスクを減らします。
すべての入力・出力・エラーを記録する
Slackから受信した内容、返信内容、失敗した内容は必ず記録しましょう。
組み込みのデバッグツールで簡単にできますが、本番運用時は長期的なログも監視しましょう。
不要なメッセージ履歴は保存しない
Slackメッセージには多くの情報が含まれますが、すべてを永久保存する必要はありません(プライバシー問題にもなり得ます)。
過去メッセージや履歴の利用は最小限にし、明確な理由がない限りスレッド全体の保存は避けましょう。
記憶が必要な場合は、スコープ付き変数や短期セッションストレージを使い、Slackの全履歴は保存しないようにしましょう。
失敗時にフォールバックメッセージを用意する
Slackが応答しない場合や、フローが行き詰まった場合、ユーザーが予期しない入力をした場合などがあります。
Slack APIマネージャーやボットマネージャーで、以下のようなフォールバックメッセージを組み込みましょう:
「うまく理解できませんでした。もう一度試すか、『help』と入力してください。」
何も言わずに止まるボットは壊れているように見えます。ユーザーを行き止まりから導くボットは意図的に設計されていると感じられます。
今すぐSlackbotを作ろう
Slackはすぐに通知や承認、質問、リマインダーで溢れ、誰が担当か分からなくなりがちです。
しっかり設計されたボットは、リアルタイムでその混乱を整理します。
Botpressなら、実際のSlackイベントに基づいたロジックを定義し、カスタムミドルウェアなしでリクエストをルーティングし、WebやWhatsAppなどにも対応したフローにボットを組み込めます。
ロジックは一度作ればOK。その後はテスト・トレース・拡張もすべて一箇所で完結します。
今すぐ構築を始めましょう — 無料です。
よくある質問
Slackbotを作るのが自分たちのチームに合っているか、どう判断できますか?
Slackで同じ作業や質問を繰り返している、Slackから離れずにワークフローをトリガーしたい、バラバラなやり取りを整理したい場合は、Slackbotの導入がチームに最適です。
コードを書かずにSlackbotを作ることはできますか?
はい、BotpressやZapier、Makeなどのノーコードツールを使えば、プログラミング不要でSlackbotを作成できます。会話フローの設計や連携、ロジックの構築も視覚的に行えます。
ボットをSlackに接続する際に注意すべき権限やセキュリティ上の懸念はありますか?
Slackにボットを接続する際は、必要最小限の権限(例:メッセージ送信用のchat:writeなど)だけをリクエストし、OAuthトークンを適切に管理し、不要な機密データを保存しないことでプライバシー・セキュリティ基準を守りましょう。
SlackbotはAPIやデータベースを使った複雑なワークフローも処理できますか?
はい、SlackbotはAPIからデータを取得したり、データベースを更新したり、複数ステップのタスクを調整したりといった複雑なワークフローにも対応できます。Botpressなどのフレームワークや必要に応じてカスタムコードでバックエンド連携が可能です。
Slackbotは異なるチャンネルやスレッド、プライベートメッセージでも動作しますか?
はい、正しい権限があり、Slackのイベントメタデータを適切に処理すれば、Slackbotはパブリック・プライベートチャンネル、スレッド、ダイレクトメッセージすべてで動作します。





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