- 最初から明確なKPIを設定しましょう。
- ビジネス目標と開発者のニーズのバランスを取り、技術者・非技術者の両方に適したツールを選びましょう。
- 実際の利用データやフィードバックをもとに、ボットを継続的に改善しましょう。
- ウィットに富んだやり取りや長文よりも、使いやすさを優先しましょう。
私たちは多くの開発者のチャットボット導入を支援してきました。あらゆるケースを見てきました。
AIチャットボットを正しく導入すれば、会社にとって非常に高い投資対効果が得られます。しかし、設計や運用が不十分なチャットボットは、かえって問題を増やすこともあります。
数年にわたり数千件のチャットボット導入を経て、カスタマーサクセスチームが導入時のベストプラクティスをいくつかまとめました。
AIによるリード獲得でも、人事ボットでも、これらのチャットボットのベストプラクティスは、戦略を現実的な成果に結びつけるのに役立ちます。
1. 初日から明確なKPIを設定する

ソフトウェアプロジェクトは雰囲気ではなく、成果が重要です。では、どうやって成果を測りますか?
成功の定義を事前に決めておきましょう。それはディフレクション率、リード転換率、解決までの時間、タスク完了率など、ビジネスにとって本当に重要な指標であるべきです。
KPIを早期に定義しなければ、効果を測定したり、継続投資を正当化する手段がなくなります。
KPIの活用方法については、チャットボットのROI測定方法の解説も参考にしてください。
2. ビジネス目標と開発現場の現実をバランスよく考える
Langchainのようなソリューションは開発者には最適ですが、ビジネス側のメンバーが導入に関与できなくなりがちです。
一部の競合他社(名前は伏せます)は、ビジネスの意思決定者には最適です。しかし、チームの他のメンバーに引き継ぐと、開発者は制限されたプラットフォームのせいで自由に動けなくなります。
チャットボットは、開発チームとGo-to-Marketチームの協力によって成り立っています。成功する導入には両者の連携が不可欠です。ロードマップやツールが両方のニーズに合っているか確認しましょう。
3. 実際の利用データに基づいて継続的に改善する
チャットボットはリリースしたら終わりではなく、そこからが本番です。
実際にユーザーがどのように使っているかを監視しましょう。どこで離脱しているのか?どんな質問に答えられていないのか?どのフローが長すぎたり、分かりにくかったりするのか?
書き起こしや分析、フィードバックを活用して定期的に更新しましょう。チャットボット分析は欠かせません。
最良のボットは、一度の大規模リリースではなく、小さな改善を積み重ねて作られます。
4. わかりやすさと役立つ内容を、ウィットに富んだ表現よりも優先する

確かに、ユーザーに冗談を言うウィットに富んだボットを作るのは楽しいかもしれません。でも正直なところ、実際に使うと不便なことが多いです。
成功しているボットは、役立ちかつ分かりやすいものです。個性を持たせることもできますが、明確なサポートが最優先であるべきです。
5. ナレッジベースを常に最新に保つ
チャットボットの質は、使うデータの質に左右されます。
よくあるのが、「チャットボットが社内データの問題を魔法のように解決してくれる」と期待するチームです。
『正しい情報が誰にも分からないから、ボットに仕分けさせよう!』…残念ながら、チャットボットを学習させる前に、チームの誰かが一度は情報を整理する必要があります。
基礎データが正確になったら、常に最新の状態に保ちましょう。
ドキュメント管理担当を決めるか、CMSやデータベースなど自動更新される情報源とチャットボットを連携させましょう。
6. チャットボットであることを最初に明確に伝える
ビジネスチャットボットが人間だと信じられている事例は数多くあります(結局のところ、私たちのメールも大体似たようなものですよね)。
混乱を避けるため、ボットであることを明確に伝えましょう。やり取りの期待値が設定され、何かうまくいかない場合でもユーザーの理解が得やすくなります。
7. チャットボットを中心に新しいワークフローを設計する

チャットボットは、業務フローに組み込まれてこそ最大限に機能します。単に横に追加するだけでは効果が薄いです。
サポートリクエストの開始、フォームの提出、社内ドキュメントへのアクセスなどのデフォルト手段にしましょう。
例えば、まずボットを経由してから人間に引き継ぐ、またはよくある質問の窓口としてボットを使うなどの方法があります。
プロセスの中心にある場合、利用が自動的になり、その価値も自然と高まります。
8. 柔軟な会話にはLLMを活用する
以前はチャットボットは使い物になりませんでしたが、今ではLLMのおかげで大きく進化しました。
現在の多くのチャットボットは、LLMエージェントとして、LLMと独自のビジネスロジックを組み合わせて動作しています。
自然言語処理(natural language processing)のおかげで自然な会話が可能ですが、企業のガイドラインも守りつつ、実際の情報を伝えながら人間らしい話し方ができます。
9. ユーザーがいる場所に導入する

ウェブサイトウィジェットは良いスタートですが、必ずしも会話が始まる場所とは限りません。
人々がすでにやり取りしている場所を見て、その流れの中にチャットボットを組み込みましょう。
顧客がWhatsAppやInstagramのDMをよく使う場合は、WhatsAppチャットボットやSNS連携の方が適しているかもしれません。
社内チームがSlackやMicrosoft Teamsを使っているなら、そこに展開しましょう。
10. パフォーマンスとROIに現実的な期待値を設定する
現場でよく見かけるのが、エージェントAIの導入に熱心な推進者が、経営陣やユーザーに対してソリューションを過剰に売り込んでしまうケースです。
チャットボットがユーザーの問い合わせを100%処理することはありません(それを望むべきでもありません)。必ず自動化すべきでない例外ケースが存在します。エンドユーザーを大切に思うなら、なおさらです。
朗報です:適切に導入されたチャットボットはROIにも優れています。誇張する必要はありません。
何を期待すればいいか分からない場合は、チャットボットプラットフォームのカスタマーサクセスチームに相談してみましょう。私たちのCSチームは、チャットボット導入の現実的な期待値を整理するお手伝いをいたします。
11. 会話らしいやり取りを心がける
ロボットのような話し方をする必要はありません。チャットボットをより人間らしくする簡単な方法がたくさんあります。
12. オーダーメイドの会話設計を構築する
チャットボットの“頭脳”としてLLMを使っているなら、それでOKです。完璧です。
多くの人が「会話デザインは不要で、LLMエージェントに任せればいい(ChatGPTありがとう!)」と考えがちです。
実際には、ただのGPTの会話よりも優れた体験を目指すべきです。ブランドイメージは?チャットボットに個性を持たせますか?答えが分からないとき、どうユーザーを誘導しますか?
LLMに頼りつつも、独自のユーザー体験づくりを忘れないでください。
13. 長期的な拡張性を計画する

その通りです。まずは小さく始めましょう。
営業チーム全体の自動化に挑戦する前に、AIリード獲得システムを構築しましょう。
ただし、小規模なパイロットの結果だけで長期的な戦略を決めてしまわないようにしましょう。
たとえば、カスタマーサービスチャットボットを購入して大成功したお客様がよくいらっしゃいます。さらに拡張したいと思っても、カスタマーサービス専用のソリューションしか購入していなかった、というケースです。
長期的なロードマップを考え、それに合わせて計画を立てましょう。チームをいつまでもパイロットプロジェクトに縛り付けないようにしましょう。
14. ユースケースやチームのスキルセットに合ったチャットボットプラットフォームを選ぶ
チャットボットプラットフォームは非常に多く、どれが自分のニーズに合っているのか判断が難しい場合があります。
開発者向けの柔軟性重視のものもあれば、ノーコードやローコードで非技術者向けのものもあります。
プラットフォームを選ぶ前に、ユースケースの複雑さ、必要な連携、そして誰がボットの運用を担当するかを考慮しましょう。
自分に合うものを見極めるには、次の質問をしましょう:
- このボットを日々管理するチームの技術レベルはどの程度ですか?
- チャットボットは複雑なワークフローの処理や社内システムとの連携が必要ですか?
- マルチチャネル対応(Web、WhatsApp、Slackなど)は必要ですか?
- このボットは今後、カスタムロジックや拡張が必要になりますか?
- 公開後の運用担当は誰?
社内に技術的な専門知識がない場合は、フリーランスや導入パートナーと協力して始めることを検討してください。
15. ユーザーや利用ケースに合わせて応答をパーソナライズする
ボットをパーソナライズできるほど、ユーザーからの評価が高くなることが分かっています。
可能であればユーザー名を使い、回答の中でそのユースケースに直接言及しましょう。
このようなパーソナライズは簡単に実装でき、会話がより自然で画一的でなくなります。
16. 既存システムとの連携
チャットボットは、タスクを実行できて初めて役立ちます。タスクを実行するには、組織が使っているシステムやデータベースと連携する必要があります。
サポートボットはヘルプデスクへのアクセスが必要かもしれません。社内の人事ボットは共有ドライブからポリシー情報を取得する必要があるかもしれません。リード獲得ボットはCRMに連絡先情報を登録する必要があるでしょう。
ボットに何をさせたいかをよく考え、それを実行するために必要なアクセス権限があるか確認しましょう。
17. データのプライバシーとコンプライアンスを意識して設計する
チャットボットが個人情報や機微なデータを扱う場合は、最初からプライバシー対策を組み込む必要があります。
必要なデータだけを保存し、機密情報はマスキングや匿名化を行いましょう。データは転送中も保存中も暗号化されていることを確認してください。
必要に応じて同意メッセージを含め、ユーザーがオプトアウトや削除依頼をできる方法も用意しましょう。
地域や業界によっては、GDPR準拠のチャットボットを構築したり、HIPAA、SOC 2、CCPA、ISO 27001などの基準に従う必要があります。
本番稼働前に、法務やコンプライアンス部門と連携してデータフローや保存方針を確認しましょう。
18. チャットボットができることを明確に伝える
多くのチャットボットは、まず自己紹介、特にエンドユーザーに何ができるかを伝えることから始まります。
期待値を明確に伝えることで、ユーザーの不満が減ります。「こんにちは、私はChattyです。最近のご注文についてお手伝いします。」これだけで十分です。
19. チャットボット導入をユーザーに伝える
当然のことのように思えるかもしれませんが、ユーザーはあなたのボットの存在を知らなければ使いません。
チャットボットを広く知らせることは、ROI向上の一環です。誰も使わなければ、投資が無駄になります。大規模なソフトウェアプロジェクトのリリースと同じように発表しましょう。
20. 長い段落は避ける
長い段落を読むのは誰でも嫌ですし、エンドユーザーも同じです。
情報を適切に区切って配置し、見やすく理解しやすくしましょう。
21. ボタンやクイックリプライを活用して操作の手間を減らす

ビジネスチャットボットを使ったことがあれば、ボタンの選択肢が表示された経験があるはずです。
ボタンやクイックリプライは見た目だけでなく、ユーザーが次のステップに進みやすくするためのものです。これにより離脱が減り、会話の流れも整理されます。
特に、アクションの確認や拒否、いくつかの一般的な意図から選択してもらう場面で役立ちます。
22. 質問は間隔を空けて出し、ユーザーを圧倒しないようにする
誰も5つも続けて質問されるのは好きではありません。
入力を分割し、ユーザーが一つずつ回答できるようにした方が効果的です。そうすることで認知負荷を減らし、回答の正確性も向上します。
23. サイドプロジェクトではなく、本格的なプロダクトとして予算を確保しましょう。
安価なチャットボットでは高いROIは期待できません。
他の製品と同じように、計画、統合作業、強力なバックエンド、ユーザーテスト、リリース後のアップデートにかかる時間を予算に入れておきましょう。
本格的な開発には、インターン一人とZapierだけではなく、実際の開発工数が必要です。本気で成果を出したいなら、それに見合った投資をしましょう。
24. チャットボットの企画・更新には複数部門を巻き込む
チャットボットは開発者向けツールだけではありません。また、単なるビジネスソリューションでもありません。
これはチャットボット導入の難しい部分ですが、(組織に複数部門がある場合は)さまざまな部門からの意見が必要になります。
各部門から必要となる情報の例:
- サポート:よくある質問、トーンの設定、エスカレーション経路
- 製品:機能仕様、リリース情報、技術詳細
- マーケティング:ブランディング、メッセージ、承認済みの言葉遣い
- IT・エンジニアリング:連携ポイント、データアクセス、APIサポート
- 法務・コンプライアンス:データプライバシー要件や免責事項
- 人事(社内向けボットの場合):ポリシー詳細、業務手順書
ボットを作るなら、正しく作ろう
チャットボットを構築・導入するなら、きちんとやりましょう。
Botpress では、ドラッグ&ドロップ式のビジュアルフロービルダー、エンタープライズレベルのセキュリティ、充実した学習ライブラリ、そして20,000人以上のボットビルダーが参加する活発な Discord コミュニティ を提供しています。
私たちは過去7年間、ボットビルダーや企業をサポートしてきました。何がうまくいき、何がうまくいかないかを熟知しています。
高付加価値のチャットボット導入を目指すなら、私たちの経験が成功への道筋を示します。
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よくある質問
1. チャットボットが答えを知らない場合はどうなりますか?
チャットボットが答えを知らない場合は、その旨を明確に伝え、代替案(質問の言い換えやトピックの提案など)を提示するか、人間の担当者に会話を引き継ぐべきです。
2. チャットボットプロジェクトでKPI設定が重要な理由は?
KPIを定義することで、解決率やコンバージョン率など、パフォーマンスを測る明確な目標ができます。KPIがなければ、ROIの評価や改善点の特定はできません。
3. チャットボット設計時に技術的要件とビジネス要件をどうバランスさせるべきですか?
チャットボット設計時には、技術面とビジネス面のバランスを取るため、初期段階から開発者とビジネス担当者の両方を関与させましょう。開発者は技術的な実現性や拡張性を担保し、ビジネスチームはユーザーの目的やワークフローを定義します。両者の連携が効果的なチャットボット構築には不可欠です。
4. チャットボットのナレッジベースはどのくらいの頻度で更新すべきですか?
価格や会社方針など、ビジネス情報が変わった際はチャットボットのナレッジベースも更新しましょう。理想的には毎月見直し、最新状態を維持することで正確性が保たれ、サポートのエスカレーションも減ります。
5. ユーザーにボットと話していることを伝える必要がありますか?
ユーザーに対して、ボットと会話していることを必ず伝えましょう。透明性は信頼につながり、ユーザーがボットの機能に合わせて質問を調整しやすくなります。また、多くの地域でデータ規制への対応にも役立ちます。





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